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存在の不思議。
人間の存在。
自分の存在。

自分とは何者か?


人間は、どんな生き方をするかを考える前に、
自分にはどんな使命があるかを考える前に、
そもそも、自分がなぜ生まれてきて、生きているのか?

生きているだけで、生きて居るということが、どれだけ不思議なことなのか?
自分がここに存在するということが、どういうことなのか?
どれほど不思議なことなのかを、
少なくともこの僕は、考えないではいられない。

今、現在、ここで、
自分がまだ存在していなかった100億年前の宇宙の様子を
ハッブル望遠鏡がとらえた映像で見ることができる。

まだ人類がひとりもいなかった時の星を、
今、この自分の目で見ているという不思議。

今現在と過去が繋がっているという事実。
そして、既に実在しない、深遠の過去を、
今、自分の目で見ているという不思議。


 


100億年前の宇宙の姿を見ながら思うこと。

人間の想像力はかくも凄いものなんだなあ、
人間は偉大な存在である、ということと、同時に、それでも、
人間の考えることには限りがあるのだなあ、
知れば知るほど、知らないことだらけだなあ、と。

こういうのを「無知の知」と言うんだが、
知ることは上りではなく、振り出しに戻ることなんだなあ、と。


そして、
人間を愛する、とは、不完全な存在を愛する、と言うことなんだなあ、と。
自分を愛する、という場合だって全く同じだ。
不完全な自分を、自分で自覚し許しながらも、
より善い自分への成長を目指す。


人間的な生き方を求めるというのは、
大宇宙によって人間に与えられた全てを活かして生きること。
だから、物欲も我も活かす。

人間に完全性を求めないのが「愛」に到達する。


人間って、ちょっとでも自分に不都合なことがあると、
相手を「嫌だな」と感じたり、
自分だって欠点があるというのに、相手にだけは完璧を要求し、
それを直させようとする、そういう自分がいるんだ。

僕の中にも、勿論、そういう自分がいたけれど、
それでは自分の価値観を相手に押し付けているのと同じなんだ。
今では、そういう自覚が持てるように成長できた。


人間には、大自然から与えられた肉体がある限り、
物欲を捨てろ、性欲を捨てろ、我を捨てろ、偏見を捨てろ、
そう言われても捨てられるものではない。

そもそも、捨てる必要なんてない。
話は全部、逆なんだ。
そういうものがあるからこそ、人間は人間で居られるのだ。

人間が、人間として、成長できるのだ。

確かに、自我があるから、対立も起きるし、問題も起こる。
しかし、だからと言って、自我を否定し、自我をなくせば良いのだと、
短絡的に考えるのは間違っている。
そういう倫理観はどこかで間違いを起こす。

人間の文化の歴史が、そのことを証明している。

人間は、自分には我があるのだという、
そういう強い自覚があること、それがあるからこそ、
他人の言うことに耳を傾け、他人の立場に配慮する、
そういう謙虚さを持つことができるんだ。

そういう「自覚された我」があるからこそ、
人間らしい心を作れるし、
人間的な生き方もできるのだ。

大宇宙には、プラスとマイナスのエネルギーが半分ずつで、
そのエネルギー・バランスによって秩序が保たれている。
これこそが宇宙の根本。

人間もこの力によって作られている。
だから、長所半分、短所半分。そういう構造。
人間に完璧を求めちゃいけない理由は、ここにある。


人間が持つ理性は、人間に完全完璧を要求する性質がある。
論理的でなくてはならないとする、その性質が、
人間を苦しめて息苦しくしてしまう。

自分で考え、哲学する人の突き当る壁は、
理性や言葉で表現しようとしてもできないことに直面することだ。
そういう場合は、沈黙するしかない心境になる。

言語化できないことまで言語化しようとする人間の悩み。

人間とは、「私」とは、感じる感性の塊である。
僕は、それを「魂」と呼んでもいいと思っている。

理性に支配されてはダメだ。
理性=人間、ではないのだ。
理性は、成長するために道具に使えばいい。

成長した結果として、自分を捨てられるのであれば、
それはそれで人間的成長というものだ。
僕はまだそこまでは到達していない。

それでも、僕は成長するために生きていたい。

人間性が豊かであるかどうかは、
自分と違う考え方の人や、自分と違う立場の人を、
どれだけたくさん懐の中に包容できるかどうかということだと思う。

そして、そして、
問題や悩み、苦しみというのは、
自分の本来持っている潜在能力、
これを引き出すために起こっているんだ。

これを避けて通ろうとすると、
人間は成長できない。

だから、生き方の基本は、
「逃げたらいけない」ということ。

時には言い訳し、誤魔化すこともある。
虚栄心いっぱいで生きている時もある。
でも、それでも、いいんだ。

ただ一つ、自分に起きている試練から、
逃げないで生きることだ。

どうせいつかは死ぬのだ。
だからこそ、今を生きること。

生きているからこそ、どんなことも起きるし、
どんなことだって乗り越えて行くに値する。
どんな味わいもあるのが、人生じゃないだろうか。
(Mr.K)